派遣と出向の違いとは?それぞれの定義とポイントを詳しく解説

2022.06.02

「派遣」と「出向」の違いについて、明確に理解している人は少ないのが現状です。いずれも、正社員を希望して面接を行い、正規に雇用されるわけではないのが特徴。しかし、それぞれには明確な違いがあります。自分の理想の働き方を実現するためにも、それぞれの違いを把握することは重要でしょう。

今回は派遣と出向の違いについて、詳しく解説していきます。

 

派遣とは

 

まずは、派遣とはどのような働き方であるのかを解説していきます。

一般的に知られている派遣ですが、明確な定義について知っておきましょう。

 

労働者派遣法で定められた働き方

 

派遣とは、労働者派遣法で定められた働き方のことです。

労働者派遣法とは、派遣会社による派遣事業の適正な運営を促すための法律であり、労働者に損害が及ばないように、細かなルールが設けられています。

なお、働き方の特徴で言うと、派遣は雇用主である派遣会社のもとではなく、他者(他社)の指揮のもとで仕事に従事します。派遣会社と契約を交わしつつ、別の企業で働くことが派遣の大きな特徴と言えます。

 

派遣会社は数々の細かな許認可を受けている

 

派遣社員と雇用契約を結ぶ派遣会社は、数々の細かな許認可を受けているのが特徴です。

適正な運営を実現・維持するために、労働者派遣法に基づいて経営することはもちろんのこと、多くの法令に沿って取り組んでいかなければなりません。また、派遣会社に複数の事業所がある場合には、各事業所が都道府県労働局の許認可を受けることが義務です。

つまり、派遣会社はどのような会社でも事業の一貫として取り組めるものではなく、多くのルールを守り、労働局など多くの場所で認められたうえで、初めて派遣会社として運営できるようになります。

 

申請書類の審査や事業者現地の調査も必須

 

派遣会社は申請書類の審査や、事業所現地の調査なども行う必要があります。

関連機関によって現地調査が行われ、適切な運営を行えるとして認められることも派遣会社には必要です。

稀に、申請書類を作成していなかったり、調査を行っていなかったりする派遣会社も存在しますが、それらは悪徳業者である可能性が高いため注意が必要。そもそも、審査などで通過できていなければ人材派遣会社を名乗ってはなりません。

派遣会社を選ぶ際には、上記のポイントを視野に入れたうえで比較することも重要であると言えます。

 

出向とは

 

派遣の定義や特徴が分かったところで、次に出向について解説します。

出向とはどのような働き方であるのかを見ていきましょう。

 

明確な定義のない働き方

 

出向は、派遣とは異なり明確な定義のない働き方であるのが特徴です。

「出向」と呼ばれる働き方は、もともと外部の企業や関連会社との交流の中で生まれたもの。スキルや情報を共有や雇用の調整などを目的として、複数の企業がお互いの従業員を出向させていました。現在では出向の内容の幅も広がり、働くスタイルも増えています。

 

大きく2つのパターンがある

 

出向は、内容を見てみると実にさまざまな選択肢がありますが、大きく分けると「在籍出向」と「移籍出向」の2パターンです。

在籍出向とは、現時点で就業している企業に籍を置いたまま、別の企業へと出向するパターン。あくまでも雇用契約を結んでいるのは、現時点で就業している企業であり、出向先ではありません。

移籍出向とは、現在勤務している企業との雇用契約を解消して、出向先と契約を結ぶといった内容です。ちなみに、移籍出向は、もともと取引先や子会社などへ在籍出向していたケースが多いです。

 

悪質なケースもあるため注意が必要

 

出向は悪質なケースがあるため、冷静に判断することが大切です。

出向は、派遣とは異なり従業員の労働力を提供して対価を受け取ることは認められていません。派遣は、労働者を派遣することで利益を得ることが事業ですが、出向は異なります。

そのため、在籍していた企業が、出向先に対して「従業員を出向させる見返りに金銭を要求する」といった行為を働くのはNGなのです。

さらに悪質なケースでは、出向する従業員よりも高額な報酬を得るといったもので、人材派遣のようなスタイルで出向が行われています。

前項でも触れた通り、人材派遣に関する行為はさまざまな法令やルール、審査をクリアしたうえでできることであるため、当然上記のような出向は違法となります。

 

派遣と出向の違いを理解して安心して働こう

 

今回は派遣と出向の違いについて解説しました。派遣も出向も極端に言えば、「雇用契約を結んでいる会社とは異なるところで働くこと」です。しかし、派遣は細かなルールや厳しい審査をクリアしたうえで成り立つ事業であり、出向は異動のような意味合いが強い働き方です。

出向と派遣とでは根本的な部分が異なるため、正しく理解しておかなければなりません。

今一度、派遣と出向の違いについて理解を深め、自分に合う働き方を考えてみてください。