派遣社員でも休業手当&休業補償は受けられる!主な条件や金額、請求手順について

2022.03.31

万が一のときの大きな味方となる休業手当や休業補償。就業中の怪我で出勤できないときや、近年深刻化している新型コロナが原因の自宅待機の要請があったとき、収入が減ってしまうため労働者としては非常に深刻な問題です。

そんなときに活用できるのが、休業手当や休業補償です。

今回は、派遣社員における休業手当や休業補償について解説します。

 

休業手当・休業補償の概要

 

休業手当と休業補償はどちらも似たようなイメージがありますが、それぞれには明確な違いがあります。

具体的に、どのような違いがあるのか、以下から見ていきましょう。

 

休業手当

 

休業手当は、事業主が労働者を休業させたときに支給する手当のことです。たとえば「新型コロナウイルスにより業務量が減ったから1週間休業してほしい」と労働者に言い渡したら、休業中の労働者に一定の手当てを支払わなければなりません。

なお、派遣会社の場合は労働者と派遣会社とで契約を交わしているため、労働者に対して手当を支払うのは派遣会社となります。

 

休業補償

 

休業補償とは、労働者が就業中に怪我などをして休業せざるを得なくなった場合の保険給付のことです。

業務内容が原因での怪我や病気は労災保険法に基づき、適切に保険給付を行うことが義務です。

 

派遣社員が休業手当を受けるための条件や金額

 

 

派遣社員が休業手当を受けるにあたり、どのような条件があるのでしょうか。受け取れる金額も合わせて解説していくので参考にしてみてください。

 

休業手当を受けるための条件

 

休業手当を受けるための条件は、事業主側の都合で労働者が休業となることです。

たとえば、業務で必要な機械が故障してしまったり、燃料が不足して業務ができなかったりするなど、労働者側に非がない状況での休業を指します。

ただし、台風や大地震など天災による休業は該当しません。また、土日祝日など、労働義務のない日も休業手当の対象外となります。

 

休業手当の金額

 

休業手当の受給が認められた場合、受け取れる金額は、平均の60%以上です。

仮に事業主側の一方的な都合であっても、賃金の100%を受け取れるわけではないのが注意点。とはいえ、支給額が「60%以上」となっているため、状況によっては100%に近い金額を受けられる場合もあります。

 

派遣社員が休業補償を受けるための条件や金額

 

派遣社員が休業補償を受けるにあたり、どのような条件があるのでしょうか。

実際に受け取れる金額も合わせて確認しましょう。

 

休業補償の条件

 

休業補償を受けるための条件として、まず知っておきたいのが、「休業の理由が勤務中・通勤時の怪我や病気であること」です。

仮に、業務中に骨折をしてしまい、通常通りの通勤が難しくなった場合は休業をせざるを得ません。医師の診断書により、休業が必要と認められれば、休業補償を受けることができます。

ちなみに、休業補償は労災保険からの支給となります。派遣会社や勤務先ではないため注意してください。

 

休業補償の金額

 

就業中や通勤時の怪我・病気における休業補償の金額は、平均賃金の60%以上です。金額においては、休業手当と同様の目安となります。

ただし、通院しながら通勤できる場合は支給の対象とはなりません。また、支給は賃金を受けられなくなった直後ではなく、賃金を受けられなくなった日から4日目となります。

 

派遣社員における休業手当の請求手順

 

派遣社員が休業手当を請求する場合には、正社員とは異なり注意する点も多いです。

スムーズに請求を行えるよう、以下の手順を把握しておきましょう。

 

休業の理由を明確にする

 

派遣社員が休業手当を請求する際には、まず「休業の理由」を明確にする必要があります。

休業の理由をきちんと派遣会社に説明を求め、休業手当の対象となるのかを把握することが大切です。

休業理由に納得できない場合には、派遣会社の責任者なども交えて、理由を明確してもらいましょう。

 

派遣会社に契約内容・補償内容を確認する

 

休業理由が明確になったら、派遣会社との契約内容や補償内容について確認する必要があります。

派遣会社ごとや、労働者の働き方などによって契約内容は人それぞれ異なります。自身の契約内容がよく分からない場合には、改めて内容を確認し、休業手当の保証を受けられるのかを相談してください。

 

派遣会社に金額の確認を行う

 

契約内容や補償内容を確認し、手当を受けられることが分かったら、派遣会社に支給額の確認を行います。自身でもきちんと計算してみて、適切な金額が支給されるかをチェックしましょう。

なお、休業手当は賃金として扱われることがほとんどです。そのため、特別な申請を行う必要はありません。期日までに入金が確認できれば完了です。

 

派遣社員も休業手当・休業補償を活用しよう

 

派遣社員であっても、休業手当や休業補償を受けることは可能です。きちんと知っておかないと、思わぬ損を被ることにもなりかねません。

とくに、近年は新型コロナウイルスの感染拡大など、予期せぬ事態により休業に追い込まれる労働者は少なくありません。

自分の生活を守るためにも、これを機に休業手当・休業補償について、理解を深めておきましょう。